お墓選びで後悔したくないと思っても、何から考えれば良いのかわからない方も多いはずです。必要な金額も決して少なくないため、あとから建て直しや改葬をするのも容易ではありません。
そこで今回は、代表的なお墓として、一般墓、永代供養墓、樹木葬、納骨堂を紹介します。それぞれのお墓のメリット・デメリット、お墓を選ぶポイントを理解したうえで、自分たちに合うお墓を探してみましょう。
一般墓とは、家単位で継承するお墓のことです。継承者を立てて、先祖代々受け継いでいく形で供養を行ないます。
従来は和型の墓石が多く使用されていましたが、近年は洋型やデザイン墓石など、多種多様な墓石が建てられています。
一般墓は家族や親族で受け継ぎ、継続的に管理をしていくものです。家族や親族間で協力しながら手厚い供養を続けるため、心の拠り所としてとらえやすいでしょう。
昔からなじみ深い形態のお墓であり、伝統や宗教観を大切にしたい方に向いています。多くの方が思い浮かべる一般的なお墓なので、建てる際も家族や親戚からの賛同を得やすいでしょう。
一般墓のデメリットは、定期的にお墓の清掃や草むしり、修繕などが必要となる点です。引越しで遠方に移り住んだ場合、お墓参り自体が負担になることもあります。
また、一般墓は墓石を建てる分、ほかのお墓に比べると費用が高めです。初期費用だけでなく、建てたあとの年間管理費、寺院への檀家料やお布施も必要となります。
一般墓を運営主体別に分けると、以下のように分けられます。
・民間霊園:宗教法人・財団法人など民間企業が運営。宗教宗派不問のところが多い。
・寺院墓地:寺院が管理する墓地。檀家になる必要がある。宗教宗派の制限あり。
・公営霊園:自治体が管理。費用は安いが申請条件が厳しめ。宗教宗派不問。
公営霊園は費用が安く人気がありますが、継承者が必須であるなど申請条件が厳しめです。募集が不定期で競争率が高く、抽選になることが多い点を理解しておきましょう。公営霊園を利用できないときのために、並行して民間霊園や寺院墓地を探しておくのが無難です。
継承がいらないお墓のことを、永代供養墓といいます。最初から合祀されるタイプ、個別の骨壺に納めて一定期間後に合祀されるタイプなど、さまざまなタイプから選択可能です。
なかには一般墓のように、個別の墓石を建てるタイプの永代供養墓もあります。継承者がいなくなり次第、霊園や寺院がそのお墓の管理を継承する形式です。
永代供養墓のメリットは、お墓の維持管理をする必要がない点です。合祀型の永代供養墓なら、墓石の購入費がかからない分、一般墓よりも費用を抑えられます。
「子どもに負担をかけたくない」「無縁墓となるのを避けたい」という場合には、永代供養墓を検討してみましょう。今あるお墓の管理や承継に悩んでいる方も、永代供養墓に移すことで精神的な負担が軽くなるはずです。
永代供養墓を利用する際のデメリットとして、合祀のタイミングに注意する必要があります。永代供養墓の場合、個別の骨壺やお墓に納めるタイプであっても、一定期間が経つと合祀されるのが一般的です。そのため、合祀後に遺骨を取り出したり、ほかのお墓に移したりはできません。
一定期間後に合祀されるタイプの場合、納骨期間は何年なのか、期間を選択できるのか、期間の延長は可能なのか、といった点をチェックします。
供養の頻度についても、月命日のたびに供養してもらえるところ、年に1回のみのところなど、施設ごとに差があるため確認が必要です。
永代供養墓の場合、共同の祭祀所が用意されていることがあります。一般墓のようなお墓参りができない施設もあるため、現地見学の際によく確認しておきましょう。
樹木葬とは、樹木や草花をシンボルとして埋葬する、継承者がいらないお墓です。樹木葬には、庭園型、公園型、里山型の3種類があります。
・庭園型:庭園のように整備されている。都市部やその近郊に多い。
・公園型:芝生が敷かれ公園のような雰囲気。都市部やその近郊に多い。
・里山型:自然の山林に埋葬する方法。遺骨を土に還す形。
継承者を用意する必要がないため、お墓の維持管理の心配がいりません。樹木葬は墓石がないため、一般墓よりも安価で利用できる点もメリットです。
里山型の樹木葬であれば、埋葬されたあと自然に還ることができます。「自然の中で眠りたい」という方にはおすすめの方法です。
樹木葬のデメリットとしては、一般墓などと比べると、参拝する対象が漠然としている点が挙げられます。1本の樹木のもとに、複数の方の遺骨を埋葬する形の場合、個別でお参りしている感覚は薄いかもしれません。
個人や家族ごとに埋葬できるタイプ、ほかの方と一緒に合祀されるタイプがあるので、申し込む前に必ず内容を確認しておきましょう。
樹木葬は夫婦や家族と一緒に利用することもできますが、納骨する人数が多い場合、かえって割高となるケースがあります。複数人で利用する可能性があるなら、樹木葬だけでなくほかのお墓も検討してみるとよいでしょう。
納骨堂とは、故人の遺骨を納めるために作られた屋内施設のことです。かつての納骨堂は、お墓を建てるまでの一時的な預かり場所として使われていました。しかし現在は一般墓と同様に、長期間にわたって活用されるケースが増えています。
納骨堂は単身者や夫婦での利用も多く、納骨する人数に合わせて区画の広さを選択可能です。駅近の便利な立地にある施設が多いため、お参りしやすいのもメリットといえます。
雨風にさらされる心配がないので、お墓の掃除や周辺の草むしりの手間もかかりません。その日の天候にも左右されず、空調が利いている屋内でお参りができます。
納骨堂のデメリットは、お墓参りの際にお線香を焚けないこと、災害時に遺骨を失う可能性があることが挙げられます。また、遺骨の数が多くなり、納骨スペースに収まらなくなるケースもあるため注意が必要です。
納骨堂には、位牌型、ロッカー型、仏壇型、自動搬送型、墓石型など、多くの種類があります。
・位牌型:ひな壇に遺骨や位牌を並べる。費用を抑えたい方向け。
・ロッカー型:ロッカーのような箱型の収蔵スペース。
・仏壇型:上段が仏壇、下段が納骨スペース。
・自動搬送型:ICカードをかざすと参拝スペースまで骨壺が運ばれる。
・墓石型:屋内に墓石を建てて遺骨を納める。
希望の価格、利用する人数を決めてから、それらに合う納骨堂を選びたいところです。
お墓を建てて埋葬する方法以外に、故人の遺骨を自然に撒く「散骨」、遺骨を自宅に安置する「手元供養」などがあります。
散骨は「お墓はいらない」「自然に還りたい」と考える方に向いています。ただし散骨といっても、好きな場所に好きなように遺灰を撒くことはできません。海や山などに遺骨を撒いて供養したい場合は、散骨のルールに詳しい専門業者に依頼するほうが確実です。
手元供養については、小さな骨壺に遺骨を移す、ペンダントとして身に着けるなどさまざまな方法があります。自宅で供養することで、故人を身近な存在として感じられるでしょう。