新たにお墓を建てることは決まっているものの、建てる場所が一向に決まらず、話が進まないケースもあるでしょう。どのような基準で場所を選べば良いのか、法律上の決まりはあるのか、細かい部分が気になるものです。
本記事は、お墓を建てる場所を決めかねている方に向けて、お墓を建てる場所に関する決まり、墓地の選び方を解説します。お墓の場所選びで後悔しないため、ポイントを押さえておきましょう。
最初に、お墓を建てる場所について、法律上のルールやよくある疑問を説明します。
墓地や埋葬のルールについては、「墓地、埋葬等に関する法律」で定められています。
お墓を建てられるのは、都道府県知事の許可を得た「墓地」に限定されます。墓地以外に勝手に埋葬や納骨をすると、法律違反となるため十分に注意が必要です。
「自分の土地であれば、お墓を建てても問題ないのでは?」と考える方もいらっしゃいます。しかし、所有している土地に勝手にお墓を建てて、遺骨を埋葬するのはNGです。
ただし、私有地に建てられているお墓であっても、法律上問題ないケースもあります。具体的には「墓地、埋葬等に関する法律」が制定される前に建てられたお墓で、行政の許可を得ているものは、「みなし墓地」として認められています。
現在は法律上、私有地に許可なく墓地を建てることはできません。ただし、「墓石・墓標を建てるだけで、遺骨を埋葬しないならOK」という解釈もあります。
とはいえ、お墓に対してネガティブなイメージを持つ方も少なからず存在します。個人の土地に勝手にお墓を作ると、近隣住民から苦情が来る可能性があるでしょう。
自宅内で遺骨を安置するのは、法律違反ではありません。この供養方法は、「手元供養」「自宅墓」などと呼ばれます。お墓を建てる場所が決まらないとき、一時的に自宅安置を選ぶ方も少なくありません。
自宅で供養をすることで、「故人を身近に感じられる」「お墓参りに行かなくても供養ができる」といったメリットがあります。
ただし湿度の高い場所、風通しの悪い場所に長期間遺骨を保管すると、カビが発生するおそれがあります。衛生的な問題が出ないように、遺骨を管理する必要があるでしょう。
管理が難しい場合は、遺骨をパウダー状にして保管する選択肢もあります。
お墓を建てる場所は、運営母体別に「公営墓地」「寺院墓地」「民営霊園」の3つに分かれます。ここでは、それぞれの特徴を詳しく紹介します。
都道府県・市町村が管理する墓地のことを、「公営墓地」と呼びます。自治体が運営しているため、経営上の問題が生じて、お墓の管理状況が悪くなるリスクは少ないでしょう。
公営墓地の人気が高い理由は、何といっても利用料金の安さです。ただし、公営墓地ならどこでも安いわけではないことを理解しておきましょう。寺院墓地・民間霊園と比べると安い場合が多いですが、その地域の土地代によっても価格は変動します。
公営墓地には宗旨・宗派の制限がないため、無宗教の方、宗旨・宗派に合うお墓が見つからない方など、誰でも利用可能です。
ただし公営墓地は抽選であることが多く、希望しても確実に入れるとは限りません。タイミングが合えば良いのですが、当選しないまま何年も経ってしまうケースもあります。その自治体での居住年数、埋葬期限など、利用条件が厳しい場合もあるため、詳細の確認が必要です。
寺院墓地を利用する場合、その寺院の檀家である形が多いでしょう。檀家になるためには、その寺院の宗派を信仰していなくてはならないため、利用条件としてはやや厳しめです。ただし、近年は宗旨・宗派を問わない寺院墓地も増えてきました。
寺院墓地のメリットといえば、手厚い供養を期待できる点が挙げられます。寺院内にお墓があるため、日常的に読経を行なってもらえるでしょう。
また、供養や法要に関して僧侶に相談できるのも良い点です。檀家であれば、お盆やお彼岸など法要が多い時期でも、法要の予定を優先的に入れてもらえるでしょう。
寺院墓地の利用に関して気を付けなければならないのは、墓石のデザインに制限がある点です。洋型墓石・デザイン墓石は選択できない場合があるので、デザインにこだわりたい方は事前に確認しておきましょう。
民間企業が運営を行なう霊園のことを、「民営霊園」といいます。民間企業は霊園を経営することはできないため、宗教法人や公益法人などからの委託を受ける形で、霊園の管理・運営を行ないます。
民営霊園は、お墓参りをする方に向けたサービス・設備が充実しているところが多いです。休憩所や売店、広い駐車場、送迎バスなど、その利便性に惹かれて民営霊園を選ぶ方も少なくありません。
宗旨・宗派不問の霊園が多いため、対象となる方が多いのも特徴です。お墓の選択肢も広く、「ペットと一緒にお墓に入りたい」「樹木葬にしたい」といった希望を叶えられる霊園もあります。