人形供養とは?寺院や神社への持ち込み、自分で供養する方法などを解説

人形供養とは?寺院や神社への持ち込み、自分で供養する方法などを解説

自宅にある人形を手放す際、その処分方法に迷われる方が多いでしょう。「そのまま捨てるのは抵抗がある」「人形ときちんとした形でお別れをしたい」という方は、人形供養を検討してみてはいかがでしょうか。

本記事では、人形供養が行なわれる理由や持ち込みできる人形の種類、依頼するタイミングや依頼先などについて解説します。自分で人形供養を行なう際のやり方も説明しますので、ぜひ参考にしてください。

■人形供養とは 

人形供養とは、役目を終えた人形やぬいぐるみなどの供養を行ない、焚き上げて焼却処分をすることです。神社や寺院では、古くから「お焚き上げ」という儀式が執り行なわれています。

◇人形供養が行なわれる理由 

日本では昔から、「万物に魂が宿る」という考えが存在しました。物には感情がないとはいえ、人や動物の形をした人形やぬいぐるみの場合、長年一緒に過ごすうちに情が移るものです。

人形を捨てようとしても、魂が宿っているような気がして、何となく捨てられない方が多いでしょう。そのようなときに、人形供養という儀式を通すことで、人形を処分する際の後ろめたさが軽減されます。一般的なゴミと同じ方法で捨てるのではなく、神社や寺院で供養をしてもらうことで、人形への感謝の気持ちを込めることができるでしょう。

◇持ち込まれる人形の種類 

持ち込み可能な人形の種類としては、以下のようなものがあります。

  • 雛人形
  • 五月人形
  • 日本人形
  • 西洋人形
  • こけし
  • ぬいぐるみ
  • こいのぼり など

上記に挙げた人形に限らず、基本的にはどのような種類の人形でも対応してもらえます。ただし、焼却処分ができない素材のもの(金属製の装飾、ガラスケースなど)は、対応不可となることもあります。気になる場合は、神社や寺院に持ち込みをする前に、念のため確認しておきましょう。

■人形供養が行なわれるタイミング

人形供養を依頼するのは、その人形を手放そうと思ったとき、その方が希望するタイミングでかまいません。一般的には、以下のようなタイミングで依頼する方が多いでしょう。

  • 子どもが成長して環境が変化するとき
  • 引越しをするとき
  • いただいた人形の処分に困ったとき
  • 亡くなった方の遺品を整理するとき

◇子どもが成長して環境が変化するとき 

小さい頃によく遊んでいた人形も、子どもの成長にともない、登場する機会が少なくなります。すべての人形をそのまま保管し続けるわけにはいかず、環境の変化に合わせて手放す場合が多いでしょう。

例えば学校を卒業したとき、成人したとき、一人暮らしを始めるとき、社会人になったときに、人形供養が行なわれます。子どものときに遊んだ人形とのお別れをすることで、気持ちが引き締まり、進学や就職などの次のステップに進むことができるでしょう。

◇引越しをするとき 

たとえ人形を捨てたくないと思っていても、自宅に保管できる物の量には限界があります。このため、引越しの荷造りの際に、人形の整理を同時に行なう方も多いです。

引越しのタイミングに合わせて人形供養をすれば、新居に人形を運ぶ必要がなくなります。一つひとつ人形を梱包する手間もなくなるため、人形供養を依頼する良いタイミングといえるでしょう。

◇いただいた人形の処分に困ったとき 

「自分で買ったものは捨てられても、誰かからいただいたものは捨てられない」という方は少なくありません。例えば結婚式でもらったペアのぬいぐるみ、誕生日に贈られたものなどが当てはまります。

いただいた人形を手放す際も、人形供養に依頼すれば、捨てる際の精神的な負担が少なくなるでしょう。

◇亡くなった方の遺品を整理するとき 

亡くなった方が大切にしていた人形は、その方の想いが残っているような気がして、簡単には捨てにくいものです。しかし処分できないまま決断を先送りにすると、「あの人形はどうやって捨てよう」という懸念が消えず、精神的な負担が続いてしまいます。

故人の思い出が詰まった人形だからこそ、ゴミとしてではなく、きちんとした形で供養を行ないたいものです。そうすることで、残された側も心の整理ができるでしょう。

■人形供養の依頼先

続いては、人形供養をどこに頼めば良いのか、候補となる依頼先について解説します。

◇人形供養の依頼先(1)寺院・神社 

日本全国の神社や寺院で、人形供養の儀式が行なわれています。ただし、すべての神社や寺院で対応してもらえるわけではないため、事前にWebサイトなどで確認しておくとよいでしょう。

お焚き上げが行なわれる頻度は、雛祭りに合わせて年に一度、または月1回など、神社や寺院ごとに異なります。お焚き上げの立ち会いをしたい場合は、その点も含めて情報収集が必要です。

人形供養を依頼する際は、お焚き上げの費用や受付可能な日時・曜日などを確認しましょう。直接の持ち込み以外に、郵送対応のできる神社・寺院もあります。近くに人形供養を依頼できる神社・寺院がない場合は、インターネット上で探してみるのがおすすめです。

◇人形供養の依頼先(2)葬儀社 

葬儀社のなかには、人形供養に対応しているところもあります。お世話になった葬儀社がある場合、近くに施設がある場合は、サービス内容を確認してみてください。葬儀社の会員になることで、無料で対応してもらえる場合もあります。

葬儀社に依頼する際は、供養の流れについても調べておきたいところです。葬儀社に依頼する場合、ホールで僧侶が読経や焼香を行ないますが、その後の流れが異なる場合があります。

読経後に人形をそのまま処分するケース、提携している神社や寺院にお焚き上げまで任せるケースなど、さまざまなやり方があるため、お焚き上げを希望する方は注意しましょう。

◇人形供養の依頼先(3)人形供養の専門業者 

インターネット上で人形供養の専門業者を探し、人形を郵送して供養してもらうことも可能です。郵送された人形は、提携している神社や寺院によって供養されます。

専門業者に人形供養を依頼するおもな流れ 

  1. 専門業者のWebサイトを確認する。
  2. インターネット上、または電話などで申し込みをする。
  3. 専用の段ボールが送られてくるため、人形を梱包して郵送する。
  4. 人形が専門業者のもとに届けられる。
  5. 人形供養の費用を支払う。
  6. 神社や寺院で人形供養が行なわれる。
  7. 供養が終わり次第、完了報告のハガキが届く。

なお人形については、他人への寄付、譲渡の対象になるケースもあります。専門業者に依頼する場合には、直接寺院や神社に依頼する場合と異なり、お焚き上げへの立ち会いができません。そのため、思い入れのある人形を手放す際は、よく考えてから依頼するようにしましょう。

■人形供養を依頼する際のよくある疑問