改葬許可証とは?申請時の3つの必要書類やよくある疑問、注意点を紹介

改葬許可証とは?申請時の3つの必要書類やよくある疑問、注意点を紹介


お墓の引越しを行なう際、新しいお墓を契約して遺骨を移動させるだけでなく、市区町村での手続きも行なわなくてはなりません。既存のお墓から新しいお墓に遺骨を移すことを「改葬」と呼び、その申請の際に必要な書類が「改葬許可証」です。

遺骨を別の場所に移動させる前に、まずは改葬許可証に関する手続きについて知っておきましょう。本記事では、改葬許可証とはどのような書類なのか、改葬許可申請の必要書類や入手場所、気を付けたい注意点などを説明します。

■そもそも改葬許可証とは?

お墓に埋葬されている遺骨を、新たに契約した墓地や納骨堂に移す際、改葬許可証を用意する必要があります。現在のお墓がある地域の市区町村に、改葬許可申請の必要書類を提出し、改葬許可証の交付を受ける形です。

改葬許可証がない状態で遺骨を別の場所に移動させるのは、「墓地、埋葬等に関する法律」の 第5条と第8条に反します。

第八条 市町村長が、第五条の規定により、埋葬、改葬又は火葬の許可を与えるときは、埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を交付しなければならない。

墓地、埋葬等に関する法律│e-Gov 法律検索

たとえ先祖代々の遺骨であったとしても、勝手に持ち出して別のお墓に埋葬すると、罪に問われるおそれがあるため注意が必要です。

■改葬許可申請に関する3つの必要書類と入手場所

お墓の引越しを行なう前に、まずは何の書類が必要なのかをチェックしておきましょう。ここでは、改葬許可申請に関する3つの書類について、入手場所も含めて説明します。

◇改葬許可申請の必要書類(1)埋蔵証明書

埋蔵証明書とは、既存のお墓に遺骨が埋葬されていることを証明する書類です。改葬手続きを行なう際は、現在のお墓の管理者に連絡して、埋蔵証明書に署名と捺印をもらいましょう。

埋蔵証明書の用紙は、お墓の管理者が所持しているものを使うか、市区町村で用意されている申請書を使用します。インターネット上でダウンロードできる場合もあるので、お墓のある市区町村のWebサイトを確認してみましょう。

◇改葬許可申請の必要書類(2)受入証明書

受入証明書は、新しいお墓の管理者に発行してもらう書類のことです。移転先であるお墓の管理者の、署名と捺印をもらう必要があります。

◇改葬許可申請の必要書類(3)改葬許可申請書

埋蔵証明書と受入証明書を用意したら、現在のお墓の市区町村に、改葬許可申請書を提出します。

改葬許可申請は墓地使用者が行ないます。申請する際に書類への押印を求められる場合があるため、印鑑を用意しておきましょう。また、改葬許可申請の手続きをする際に、窓口に来た方の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)が必要です。

改葬許可申請の基本的な流れは上記のとおりですが、必要書類や各書類の様式、申請の流れは自治体ごとに変わります。詳細については、各市区町村のWebサイトを確認するか、役所の担当課窓口に申請方法を確認しましょう。書類を用意するのに時間がかかる場合があるため、早めに手続きを行なうことをおすすめします。

■改葬許可申請書はどこで手に入る?


改葬許可申請関連の書類は、市区町村の窓口で入手できます。各書類に関する発行費用の目安は、以下のとおりです。

【改葬許可申請の費用目安】

  • 埋蔵証明書の発行費用:300円~1,500円程度
  • 受入証明書の発行費用:0円~1,000円程度
  • 改葬許可証の発行費用:0円~1,000円程度

市区町村によって申請書類の様式や費用が異なるため注意が必要です。

埋蔵証明書、受入証明書、改葬許可申請書については、各市区町村のWebサイトでもダウンロード可能です。(※市区町村によってダウンロードできる書類が異なります。)

申請書の書き方や記入例を掲載している市区町村もありますので、手続きの際はチェックしてみるとよいでしょう。

■改葬許可申請に関するよくある疑問

続いては、改葬許可申請の手続きをする際の、よくある疑問について回答します。

◇代理人でも申請できる?

墓地使用者が市区町村窓口に行けない場合は、代理人による申請も可能です。改葬許可申請書に加えて、委任状と代理人の本人確認書類が必要になります。

窓口で代理人での申請を行なう場合は、Webサイトで改葬許可申請の流れを把握しておくと安心です。市区町村によっては、代理人用の改葬許可申請書を用意している場合があります。

委任状とは、申請手続きを代理人に任せる際に、権限を委任する旨を証明する書類です。委任状の書き方がわからない場合は、市区町村のWebサイトに掲載されている、委任状の記入例を参考にするとよいでしょう。委任状に決まった形式はありませんが、記載内容に不備があると委任状として認められないおそれがあるため注意が必要です。

◇改葬許可証の発行は郵送でも申請できる?

改葬許可証は、郵送による請求も可能です。市区町村によって扱いが異なりますので、Webサイトを確認するか、窓口の担当課に問い合わせて確認しましょう。郵送申請の前に、事前連絡が必要な自治体もあります。

郵送で申請する際は、改葬許可申請書など必要書類のほかに、返信用封筒や申請者の本人確認書類(コピー)が必要です。返信用封筒には切手を貼り、改葬手続きの担当課に送付しましょう。書類内容に不備がなければ、返信用封筒で改葬許可証が届けられます。

郵送で申請する際に注意したいのは、日中に連絡の取れる電話番号を記載しておくことです。申請書類に不備があった場合、確認したい内容があったときに、市区町村から電話連絡が入ります。

◇複数人分の遺骨がある場合はどうする?

改葬許可証は、1つのお墓に1枚用意するのではなく、1体の遺骨ごとに1枚用意します。既存のお墓に複数の遺骨が埋葬されている場合は、人数分の申請が必要にあるため注意が必要です。

◇改葬許可証に有効期限はある?

改葬許可証に有効期限はないため、基本的には取得した時期に関係なく、改葬手続きが可能です。ただし移転先のお墓の使用規則に、改葬許可証の有効期限に関するルールが定められている場合があります。

◇改葬許可証が発行されるまでに何日かかる?

改葬許可申請をした際、改葬許可証の発行にかかる日数は、市区町村によって異なります。即日交付できるところもあれば、数日から10日程度かかるところもあるため注意が必要です。

即日発行が可能な自治体であっても、申請書に不備があった場合、申請件数が多い場合には、発行までに時間がかかります。郵送でやり取りする場合は、書類を送り返してもらう時間も必要です。遺骨を移動させたい日が直近に迫っている場合は、なるべく早めに申請手続きを行なったほうがよいでしょう。

◇土葬の場合でも改葬できる?

土葬の場合でも改葬はできますが、遺骨を移動させる際に火葬を行なわなくてはなりません。改葬許可証を発行する際、火葬許可証の交付もしてもらいましょう。遺骨が土に還っている場合、そもそも改葬の手続きが不要なケースもあります。

なお、土葬のお墓から遺骨を取り出すとき、そのお墓に何名の遺骨が埋葬されているのか、人数を知っている方の立ち会いが必要な場合があります。

■改葬許可申請をする際の注意点



改葬許可申請を滞りなく進めるためには、必要書類を用意するだけでなく、お墓の管理者や親族への配慮も必要です。ここでは、改葬許可申請に関する注意点、起こりがちなトラブルについて説明します。

◇現在のお墓の管理者には早めに相談する

遺骨を別のお墓に移す場合は、なるべく早めにお墓の管理者に相談しましょう。特に寺院墓地の場合、お墓を移すということは檀家をやめるという意味にもつながります。改葬の際に高額の離檀料を求められるトラブル、檀家をやめさせてもらえないトラブルも発生しがちであるため注意が必要です。

お墓の管理者とスムーズにやり取りできるよう、改葬を決めてから急に伝えるのではなく、検討している段階で相談するのが望ましいでしょう。「遠方でお墓参りができなくなった」「永代供養墓に移したい」など、改葬する理由を丁寧に伝えることで納得してもらいやすくなります。

改葬の際に埋蔵証明書が必要になりますが、この書類は既存のお墓の管理者に発行してもらわなくてはなりません。そのため、お世話になった感謝の気持ちを込めながら、改葬について相談する姿勢が大切です。

◇親族との話し合いが必要

「子どもに負担をかけたくない」「お墓の跡継ぎがいない」「遠方でお墓を管理できない」などの理由で、永代供養墓などに改葬するケースは少なくありません。しかし、先祖代々のお墓の在り方を大切にしている方、お墓の移動に良い印象を持たない方もいらっしゃいます。

改葬許可申請の手続きを始める前に、親族との話し合いを入念に行ないましょう。身近な家族は納得していても、改葬したことが親戚に伝わり、トラブルになる可能性もあります。既存のお墓、納められているご先祖様と関わりがある方に声をかけ、改葬しても良いかを確認しておきましょう。別のお墓に移す際は、新しいお墓の管理を誰が行なうのか、改葬の費用負担も含めて話し合いが必要です。

一度遺骨を移してお墓を撤去してしまうと、もとの状態に戻すことはできません。お墓に対する価値観は人によって大きく異なりますので、トラブル防止のためにも事前にしっかりと話し合っておきましょう。

■まとめ

改葬許可証の発行手続き自体は、必要書類や流れを把握しさえすれば、それほど複雑なものではありません。市区町村ごとに手続きの細かな流れや書類の様式が異なりますので、役所の窓口やWebサイトで詳細をよく確認しておきましょう。

改葬を行なう際は早めにお墓の管理者に相談すること、親族との話し合いを済ませておくことが肝心です。改葬に関する一連の流れや注意点を把握したうえで、改葬許可証の発行手続きを行ないましょう。

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