樹木葬とは?
樹木葬とは、樹木や花を墓標とするお墓のことです。墓石を立てる一般墓と比べると、比較的歴史の浅いスタイルといえますが、近年は自然志向の高まりから、あえて樹木葬を選択する方も少なくありません。
使用される樹木・花の種類は、サクラ、モミジ、クスノキ、ハナミズキ、エゾアジサイ、バラなどさまざまです。霊園や寺院ごとに選択できる樹木・花の種類が異なるので、事前によく調べておく必要があるでしょう。
樹木葬のおもな種類
樹木葬は、庭園型・公園型・里山型の3種類に分類できます。埋葬方法や墓地のデザイン、交通アクセスなどに違いが見られるので、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
◇庭園型
都市部によく見られるのが「庭園型」の樹木葬です。庭園型では、霊園や寺院の一角に墓地用のスペースを作り、樹木や花を植えて庭園のような雰囲気にします。色とりどりの花で埋め尽くされた、明るい印象の墓地が多いことも特徴です。
◇公園型
樹木葬のなかでも特に多いのが公園型で、墓地として人工的に整理されていることが特徴です。「公園型」の場合は、寺院・都市型霊園に設けられた公園で樹木葬が行なわれます。決められた区画内で植樹と埋葬を行ない、骨壺を納骨室(カロート)内に納める形が一般的でしょう。
◇里山型
里山を墓地として活用して、自然に近い形で埋葬するのが「里山型」です。遺骨を自然に還すことができるので、自然志向の方に向いています。ただし、郊外や地方など立地が不便なところも多いため、墓地までの交通アクセスを確認しておく必要があるでしょう。
樹木葬の埋葬方法
樹木葬を選択する際には、埋葬方法の違いについても理解が必要です。
・合祀埋葬
骨壺から遺骨を取り出して、他の方の遺骨とひとまとめにしてから埋葬します。
・共同埋葬
遺骨を骨壺や骨袋に入れて、他の方と同じスペースに埋葬します。
・個別埋葬
遺骨を骨壺や骨袋に入れて、個別のスペースに埋葬します。
合祀埋葬の場合は、他の方の遺骨と一緒にまとめられるため、あとから遺骨を取り出すことができません。遺骨を個別に分けておきたい場合は、共同埋葬か個別埋葬を選ぶようにしましょう。
ただし、共同埋葬・個別埋葬であっても、一定期間を経たあとに合祀になるケースが大半です。その点も理解したうえで、樹木葬の契約をしなくてはなりません。
納骨の際にも、遺骨をそのまま納めるのか、遺骨をパウダー状にしてから納めるのかで大きな違いがあります。もちろん、合祀や粉骨を一度行なうと、元の状態に戻すことはできません。埋葬方法の違いについて比較しながら、慎重に選択する必要があるでしょう。
樹木葬のおもなメリット
樹木葬が人気を集めている背景として、以下のようなメリットがあります。
◇お墓を管理する必要がない
一般墓の場合は、故人の家族・親族がお墓を継承して管理を行なわなくてはなりません。しかし、近年はお墓に関する考え方も変わりつつあり、継承者を必要としない供養方法が好まれるようになっています。
樹木葬であれば、霊園や寺院がお墓を管理するため、継承者を選ぶ必要がありません。樹木や花の手入れもしてもらえるため、供養や管理に不安がある方でも安心して任せられます。
◇宗旨・宗派が不問である場合が多い
お墓を建てるときに宗旨・宗派を問われるケースもありますが、樹木葬では多くの場合、宗旨・宗派は不問です。
ただし、檀家になる必要がある、埋葬後の供養方法や戒名について決まりがあるなど、一部に例外も見られます。他宗派の方は申し込み不可のケースもあるので、契約する前にしっかりと確認しておきましょう。
◇一般墓よりも費用を抑えられる
一般墓を新たに契約する際には、墓石の費用が必要となります。そのため、墓石を用いない樹木葬のほうが、基本的には安価で契約できます。
ただし、樹木葬と一口にいっても、立地やオプションによって最終的な支払金額は異なります。樹木葬を検討する際には、予算オーバーにならないよう気を付けながら、条件に合う墓地を探す必要があるでしょう。
また、樹木葬を選択する場合は、利用人数が増えるごとに費用がかかる点にも注意が必要です。大人数で利用する可能性があるなら、樹木葬よりも一般墓のほうが費用負担を安く抑えられるかもしれません。
◇環境に配慮した埋葬方法である
樹木葬は、継承者、宗旨宗派、費用負担の問題を解決できますが、環境保全への意識が高い方にも広く選ばれています。樹木を守るという意味では、里山型の樹木葬を選ぶのがよいでしょう。
「好きな樹木(花)の下で眠りたい」「死後は自然に還りたい」という希望がある方は、樹木葬をぜひ検討してみてください。