お墓を継ぐ人がいない……深刻な跡継ぎ問題の解決方法3選を紹介

お墓を継ぐ人がいない……深刻な跡継ぎ問題の解決方法3選を紹介

先祖代々のお墓を持っているものの、跡継ぎがいないことにお悩みの方も多いのではないでしょうか。お墓の維持管理をする人が見つからなければ、いずれ無縁墓となってしまうでしょう。

お墓を大切にしたいという気持ちがあっても、やむを得ない事情で引き継ぎできない方も少なくありません。跡継ぎがどうしても見つからない場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。

今回はお墓の跡継ぎの決め方や、どうしても継ぐ人が見つからないときの解決方法を紹介します。


■跡継ぎのいないお墓が増えている背景

古くからある一般墓は、子や孫、親戚間で継承していくスタイルが前提でした。しかし近年は跡継ぎがいないまま、無縁化するお墓があとを絶ちません。

跡継ぎのいないお墓が増えている背景は、以下のとおりです。

◇少子高齢化でお墓を継ぐ子や孫がいない

「お墓を継承する子や孫がいない」「管理者が高齢で対応できなくなった」という理由で、放置されるお墓が増えつつあります。

以前は「お墓は長男が引き継ぐもの」「お墓を建てるのが当たり前」という考え方が多く見られました。生まれる子どもの数が多い時代だからこそ、伝統的なお墓が無事に継承できていたのです。

現代の日本は、人口減少、少子高齢化という深刻な課題を抱えています。晩婚化・未婚化が進み、子どもを持たない人も増えるなか、お墓の跡継ぎを見つけるのも簡単ではありません。

◇遠方に住んでいてお墓参りができない

特に過疎化が進む地域では、お墓を引き継ぐはずだった子や孫が、都市部へと移り住むケースが多々見られます。

遠方にあるお墓を管理するには、交通費や時間的な負担などが発生します。そのため、子や孫にお墓の跡継ぎになってもらおうとしても、「遠方だからお墓の跡継ぎにはなれない」「先祖代々のお墓に入るつもりはない」と断られる場合もあるでしょう。


■お墓を継ぐ人がいないと、将来的にどうなる?

 
お墓を継ぐ人がいない場合、残されたお墓はどうなってしまうのでしょうか。ここでは、放置されたお墓の行く末について説明します。

◇継承者のいないお墓は荒れ放題に

お墓の跡継ぎがいなくなれば、当然ながらお墓の劣化が進み、荒れ放題の状態となるでしょう。

管理者は霊園・墓地全体の管理を行なうのみで、個々のお墓のお手入れは行ないません。墓石の汚れを落とす、周囲の雑草を取り除く、墓石の破損を修繕するなど、自分たちの手で維持管理をするのが基本となります。

また、墓石は風雨や地震の影響を受けて、徐々に劣化していくものです。墓石の欠けやひび割れ、傾きをそのまま放置すると、倒壊して周囲の墓石を傷つけてしまうおそれがあります。

周辺のお墓の所有者にまで迷惑をかける可能性がある以上、跡継ぎのいないお墓を放置することはできません。

◇無縁墓を放置するといずれ撤去される

管理料の支払いが滞って音信不通になると、最終的にお墓は強制撤去となります。

お墓を継ぐ人がいなくなっても、すぐにお墓が取り除かれて更地となるわけではありません。お墓が無縁化して管理料の滞納が続いた場合、まずは官報・立札によって、「申し出がなければお墓を整理します」という内容の告知が行なわれます。

この告知期間は1年です。今後もお墓を使い続けるつもりなら、この1年間のうちに継承者が申し出なくてはなりません。

1年が経過すると、いよいよお墓の撤去が始まります。お墓の使用権は取り消され、取り出された遺骨は、他の方の遺骨とともに合祀されることになります。


◇撤去されたお墓はもとに戻せない

無縁化したお墓が撤去されると、遺骨をもとの状態に戻せなくなります。遺骨は合祀墓に埋葬されるため、あとから個別に取り出すことはできません。

お墓を手放すつもりは一切なかったのに、いつの間にか無縁墓として撤去されていた、というケースもあります。「○○が管理してくれているだろう」と思い込んでいたら、実際には誰も管理していなかった、というケースもあるでしょう。

大切なのは、現在のお墓の継承者は誰なのか、適切に管理されているのかを把握しておくことです。「お墓の近くに親族が誰も住んでいない」「久々にお墓参りをしたら、お墓が荒れ果てていた」という場合は、特に気を付けたほうがよいでしょう。


■親族内でお墓を継ぐ人を選ぶ際のポイント

お墓を継承した人は、お墓参りや墓石の掃除、管理料の支払いなどを行なう必要があります。ここでは、お墓の跡継ぎを決める際のポイントについて見ていきましょう。

◇お墓を継ぐのは誰でも良い?

お墓の跡継ぎの決め方について、明確なルールはありません。家族や親族が跡継ぎになるケースが一般的ですが、それ以外の立場の人、血縁関係がない人が跡継ぎになるケースもあります。

お墓の所有権の継承については、民法第897条で定められています。お墓は祭祀財産であり、祖先の祭祀の主宰者にふさわしい人がこれを承継する、という内容です。

(祭祀に関する権利の承継)
第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

出典:民法第897条| e-Gov法令検索

亡くなった方が生前に跡継ぎを指定していた場合は、この指定にしたがいます。特に指定がない場合は、地域の慣習や親族内の話し合いによって決定します。

かつてはその家の長男がお墓を引き継ぐケースが一般的でしたが、長男以外の男性や、結婚して改姓した女性が継承することも可能です。

跡継ぎがどうしても決まらない場合は、家庭裁判所での調停・審判によって跡継ぎが決められます。

◇墓地ごとのルールを要確認

先ほど「お墓の継承は家族・親族以外も可」と説明しましたが、霊園・墓地の使用規則についても確認しておかなくてはなりません。霊園・墓地によっては、お墓を継承できる範囲を「〇親等以内の親族に限る」のように定めている場合があります。

特に寺院墓地のお墓を引き継ぐ場合は、菩提地との関係も含めて継承する形となる点に注意が必要です。

◇跡継ぎに関するトラブルを防ぐために

先祖代々のお墓を現在所有していて、継承する子や孫がいない場合は、思い切ってお墓を撤去するのも選択肢の一つです。しかし、先祖代々のお墓を撤去すること、遺骨を合祀墓に移すことに抵抗感がある方も少なくありません。

一部の人のみでお墓の撤去を決めてしまうと、のちに親族内でトラブルとなる可能性があります。

お墓の撤去を行なう前に、本当に跡継ぎになる人がいないのか、連絡のできる親族に可能な限り確認しておくほうがよいでしょう。


■お墓を継ぐ人がいない場合の解決方法3選

 
跡継ぎとして名乗り出る人が誰もいない場合は、以下の解決方法のなかから、自分たちに合うものを選びましょう。

◇お墓の管理費を前払いする

お墓の所有者がすでに亡くなっている場合は、早急に誰かがお墓を引き継がなくてはなりません。しかし話し合いが進まず、時間ばかりが過ぎてしまうこともあるでしょう。

そのような場合は、いったん管理費を前払いしておくのも一つの手段です。管理費をまとめて先に支払っておけば、支払い済みの期間中は少なくとも、お墓を強制撤去されることはないでしょう。

ただしお墓の管理費は、必ず前払いできるわけではありません。何年分まで前払いができるのか、そもそも前払いに対応してもらえるのか、霊園・墓地への確認が必要です。

◇墓じまいをする

墓じまいとは、今あるお墓を撤去して更地にしたあと、その土地を霊園・寺院に返還することです。お墓を継ぐ人が見つからない場合は、無縁墓となる前に、墓じまいを行なったほうがよいでしょう。

お墓から取り出した遺骨は、散骨や手元供養という形で供養するか、跡継ぎのいらないお墓に移す形のいずれかとなります。散骨とは、粉末状にした遺骨を自然に撒いて葬送する方法です。手元供養は、遺骨を持ち帰って自宅で供養する方法です。

墓じまいの流れや注意点については、下記の記事をご覧ください。

関連記事:
墓じまいとは?基本の手順や費用相場、注意点などについて解説

◇お墓の改葬を行なう

墓じまいの際に取り出した遺骨を、跡継ぎのいらないお墓に移せば、お墓を継ぐ人がいなくても故人の供養を続けられます。

跡継ぎのいらないお墓としては、永代供養墓、樹木葬、納骨堂などが挙げられます。永代供養付きのお墓を利用すれば、自分たちで維持管理を行なう必要がありません。管理者に一任できるため、将来的にお墓参りをする人がいなくなっても、継続して供養してもらえます。

お墓の改葬については否定的な声も聞かれますが、適切な方法で供養を行なえば何ら問題はありません。人口減少と少子高齢化に直面している日本では、一般墓に代わる新たな選択肢として、これらの新しい形態のお墓が選ばれるようになってきています。

墓じまいと改葬の詳細については、以下の記事でも説明しています。

関連記事:
改葬とは?墓じまいから納骨までの手順、必要な費用などについて解説


■まとめ

跡継ぎがいないお墓を放置すると、お墓の状態が劣化するだけでなく、強制撤去で大切なお墓を失いかねません。今あるお墓を継ぐ人がいないなら、問題を先送りにせず、早めに墓じまいや改葬などの対処を行ないましょう。

お墓の跡継ぎとなることは、今後自分たちの子や孫にまで影響がおよぶということです。お墓の跡継ぎを誰にするのか、墓じまいや改葬を選択すべきなのか、親族内で納得できるまで話し合ったほうがよいでしょう。

日本の人口構成の変化にともない、永代供養墓や樹木葬、納骨堂といったお墓を選択する方も増えています。お墓を継ぐ人が見つからずに悩んでいるなら、伝統的なお墓とは異なる、新しい形態のお墓を検討してみてはいかがでしょうか。

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