永代供養付きのお墓を選択する際に、位牌は用意すべきなのでしょうか。そもそも位牌とは何なのか、位牌をどのように扱うべきなのか、詳しく知らない方もいるかもしれません。
本記事では、位牌を用意する意味と位牌の種類、手配する際の注意点、購入場所などを説明します。位牌を手放したい方のために、位牌の処分方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
■位牌とは?
位牌とは、亡くなった方の戒名や俗名、没年月日、享年などが記載された木札のことです。位牌には故人の魂が宿るとされており、故人の供養のため自宅の仏壇などに飾られます。自宅に仏壇がない場合は、寺院に預けて安置してもらうこともあります。
◇位牌の種類
葬儀のときに祭壇に安置される白木の位牌は、「白木位牌(仮位牌)」と呼ばれます。白木位牌は四十九日まで使われる、仮の位牌です。
四十九日法要を終えるまでは白木位牌が使われ、その後「本位牌」と入れ替えられます。白木位牌は役目を終えたあと、僧侶によって魂抜きの儀式が行なわれ、その後はお焚き上げで焼却処分されます。
「本位牌」は、四十九日法要のあと、仏壇に長きにわたって安置される位牌です。本位牌には、おもに以下のような種類があります。
- 塗位牌:金箔・金粉などの装飾、漆塗りなどが施された位牌。
- 唐木位牌:黒檀・紫檀などの高級木材を使用した位牌。
- モダン位牌:デザイン豊富でモダンな位牌。洋室に合うものも多い。
- 回出し位牌:箱型の位牌の中に、ご先祖様の名前が入った板を収納するタイプの位牌。
位牌の数が増えてきて仏壇に置けなくなったときは、回出し位牌を使用するとよいでしょう。浄土真宗では、位牌ではなく、過去帳を代わりに使用します。
一般的な位牌は一人用ですが、夫婦の名前を記した位牌(夫婦位牌)も選択可能です。夫婦位牌の場合、幅広の1本の位牌に、夫婦2名分の文字入れを行ないます。
先に亡くなられた方の位牌を通常どおりに作ったあと、夫婦が二人とも亡くなった際に、あらためて夫婦位牌を作り直すケースが多いです。二人の位牌を1本にまとめることで、仏壇内のスペースに余裕ができる、という利点もあります。
■本位牌を手配する際の注意点
本位牌を注文する前に、以下の注意点を押さえておきましょう。
◇適切なサイズを選択する
本位牌のサイズは、仏壇全体のサイズ、配置した際のバランスを考慮して選ぶのが基本です。ご先祖様の位牌がある場合は、その位牌と同じサイズ、または少し小さいサイズを選択してください。
仏壇の最上段中央には、ご本尊が祀られます。位牌はご本尊の棚の下段、2段目に安置するのが基本です。2段目に置けない場合は最上段にも置きますが、位牌でご本尊を隠さないように注意が必要です。
ただし、小さな仏壇の2段目には位牌を置くことができないケースもあるでしょう。その場合には、位牌とご本尊が重ならないように、ご本尊の左右に位牌を安置します。
◇本位牌は早めに注文する
白木位牌は、四十九日法要のタイミングで本位牌に交換します。白木位牌をそのまま祀る選択肢もありますが、白木位牌は背が高いため、自宅の仏壇に安置し続けるのは難しいでしょう。
本位牌を注文したあと、戒名や没年月日などの文字入れ作業が行なわれます。四十九日法要に間に合うよう、注文はできるだけ早めに行ないましょう。注文先にもよりますが、完成までに2週間程度かかる場合があります。
■位牌を購入できる場所
本位牌のおもな購入場所としては、「仏壇仏具店」「葬儀社」「インターネット通販」の3つの候補があります。
◇位牌の購入場所(1)仏壇仏具店
仏壇仏具店なら、豊富なラインナップのなかから、自宅の仏壇に合うものを選べます。細かな装飾、木材や塗りの質感、色合い、サイズなど、実物を見ながら比較できる点がメリットです。
仏壇仏具店であれば、位牌についてはもちろん、仏壇や仏具についても専門知識のある店員に気軽に相談できます。「位牌を自分の目で選びたい」「誰かに相談しながら決めたい」という方には、仏壇仏具店での購入がおすすめです。
◇位牌の購入場所(2)葬儀社
葬儀社に葬儀を依頼する際に、本位牌の手配について相談してみるのもよいでしょう。葬儀から仏具の手配まで、信頼できる葬儀社にすべて任せてしまうのも一案です。
ただし、なかには位牌を取り扱っていない葬儀社もあります。葬儀が終わったあとにでも、位牌の注文が可能であるか、念のため確認しておきましょう。
◇位牌の購入場所(3)インターネット通販
位牌の購入費用をできるだけ抑えるなら、インターネット通販での注文がおすすめです。スマートフォンやパソコンから、好きなデザインが見つかるまで、自分のペースで探すことができます。
ただし、インターネット通販では、質感や色合いを直接確認できない点がデメリットです。また、安価な位牌は多数ありますが、なかには品質が悪いものもあるでしょう。
時間の経過とともに、漆が剥がれてきたり、位牌が反ったりする場合もあります。「商品ページで見たイメージと違った」「数年で劣化してしまった」という声も聞かれるため、注意が必要です。
インターネット通販で位牌を探す際は、店舗や商品の口コミ、評価をよく確認してから購入しましょう。
■そもそも故人の供養に位牌は必要?
位牌は故人の魂が宿る場所、手を合わせる対象として扱われます。しかし、故人の供養をする際に位牌が必須というわけではありません。
例えば、浄土真宗の場合は、位牌を作らなくても良いとされます。故人は亡くなったあとすぐに仏様になるため、魂が宿る場所(位牌)は不要、という考え方です。浄土真宗では前述のとおり、位牌の代わりに過去帳を仏壇に飾ります。
また、仏教以外を信仰している方、無宗教の方も、位牌の用意は不要です。しかし、自宅でお参りをしたいなら、宗教に関係なく位牌を用意してもよいでしょう。位牌の有無よりも、故人を偲ぶ気持ちが大切です。
■永代供養の場合、位牌を作っても良い?
近年は納骨堂など、永代供養を選ぶ方が増えています。永代供養の場合は、霊園や寺院がご遺族に代わってお墓の供養・管理を行なうため、位牌を作る必要はありません。しかし、永代供養の場合でも、自宅で手を合わせる対象として、位牌を用意する方もいらっしゃいます。
「今あるお墓を撤去して別の場所に移したい」「永代供養に興味がある」という方は、以下の記事を参考にしてください。
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今あるお墓から永代供養のお墓に遺骨を移す際に、すでにある位牌の取り扱いについて悩まれる方もいるかもしれません。既存の位牌は、そのまま自宅で保管することも、適切な方法で処分することも可能です。
自宅で保管するなら、従来どおり仏壇に安置するのが一般的です。仏壇がない場合は、リビングや寝室など、手を合わせやすい場所に置いてもかまいません。コンパクトなミニ仏壇を置いたり、棚や台を設置したりするのもよいでしょう。
ただし、位牌は故人の魂が宿る場所であり、供養の対象となるものです。したがって、床に直置きするといったぞんざいな扱いは避けましょう。
■【永代供養】既存の位牌の処分方法
遺骨を永代供養のお墓に移す際に、位牌を手放す方もいます。手もとにある位牌を手放すなら、以下の方法で処分するようにしましょう。
◇位牌の処分方法(1)寺院に安置する
位牌の永代供養を寺院に依頼します。永代供養といっても、永久的に個別安置をされるわけではありません。安置できる期間が決まっており、その期間を超えるとお焚き上げが行なわれます。三十三回忌まで安置できる寺院が多いですが、なかには契約後、すぐにお焚き上げをする寺院もあります。
依頼先で迷うようなら、まずは遺骨の永代供養先に相談してみましょう。位牌の永代供養ができない場合は、位牌堂・永代祠堂のある別の寺院を探してみてください。
◇位牌の処分方法(2)お焚き上げする
位牌を処分する際は、閉眼供養(魂抜き)の儀式を寺院に依頼します。閉眼供養を行なって故人の魂を抜くことで、その位牌は供養の対象ではなくなり、「物」として扱われます。
閉眼供養のあとなら、位牌をゴミとして処分することも可能です。とはいえ、これまで手を合わせる対象としていた以上、抵抗感がある方が多いでしょう。閉眼供養を終えた位牌は、多くの場合そのまま寺院に預けてお焚き上げをしてもらいます。
◇位牌の処分方法(3)一時預かりを依頼する
位牌を処分すべきか迷ったとき、自宅以外の場所に預けたいときは、寺院の一時預かりを利用するとよいでしょう。月単位、年単位で契約期間を決めて預けることが可能です。一時預かりの契約を終えたあと、自宅に位牌を持ち帰るか、永代供養やお焚き上げを依頼するかを決められます。
位牌の一時預かりは、年間1万円~3万円程度で依頼できます。遺骨の永代供養先が決まっているなら、菩提寺に位牌の一時預かりが可能か確認してみるとよいでしょう。
位牌の処分ができないまま、自宅で埃をかぶった状態になるのも良くありません。適切な方法で処分することで、「ご先祖様に申し訳ない」という気持ちを軽減し、すっきりとした気持ちで前に進めるでしょう。
■まとめ
浄土真宗以外の仏教徒の方は、故人の魂の依り代として、位牌を用意するのが一般的です。
既存のお墓から永代供養付きのお墓に移す際は、位牌をそのまま自宅で保管しても手放しても、どちらでもかまいません。位牌を処分する場合は、永代供養やお焚き上げを寺院に依頼するとよいでしょう。
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