墓地の名義変更手続き│必要書類や費用、名義人の決め方を解説

墓地の名義変更手続き│必要書類や費用、名義人の決め方を解説

墓地の名義人が亡くなったときには、名義変更手続きが必要です。

そこで今回は、墓地の名義変更手続きの方法や必要書類、費用などの基本情報を解説します。新名義人が決まらないときの決め方、候補者となる方の選択肢についても紹介しますので、ぜひご一読ください。


■墓地の名義変更手続きの方法

墓地の名義変更をする際には、まずはその墓地の管理者に問い合わせましょう。墓地の管理者は、その墓地の運営母体によって異なります。

・公営霊園:自治体が運営。市区町村役場に申請する。
・寺院墓地:宗教法人が運営。寺院に申請する。
・民間霊園:民間企業が運営。墓地の管理事務所に申請する。

なお、公営霊園の場合は市区町村役場へ申請しますが、死亡届を提出しても墓地の名義変更は行なわれません。

墓地の管理者へ連絡をしたら、名義人の死亡と名義変更を希望する旨を伝えましょう。問い合わせの際に、必要書類や手数料について聞いておくとスムーズに準備を行なえます。基本的には、管理者の案内にしたがって手続きを進めれば問題はありません。

大切な方が亡くなったあと、名義変更手続きをする心の余裕がない方も多いです。「落ち着いてから手続きをしたい」「名義人が決まらず、まだ変更できない」という場合は、墓地の管理者に連絡して、名義変更の期限を確認しておきましょう。


■墓地の名義変更に必要な書類

 
本章では、墓地の名義変更に必要なおもな書類を紹介します。ただし、ここで紹介する以外の書類も必要になることがあるため、詳細は墓地の管理者に確認しましょう。

◇名義変更届

墓地の名義変更を届け出る書類です。新名義人の情報(氏名・生年月日・連絡先・住所)、旧名義人との続柄などを記載します。

墓地の管理者ごとに書式や名称が異なる点に注意が必要です。

【名義変更以外の呼び方の例】
・変更届出書
・継承使用申請書
・墓所承継使用申請書
・使用権承継申請書

名義変更届については、それぞれのホームページでダウンロードできる場合もあります。

◇墓地使用許可証(永代使用許可証)

墓地使用許可証(永代使用許可証)とは、墓地の使用権を取得した際に交付される書類のことです。紛失した場合は再発行もできますが、再発行手数料がかかります。

◇印鑑証明書

名義変更届には、新名義人の実印を押印します。その実印が本人のものであることを証明するため、自治体が発行する印鑑証明書が必要です。

印鑑証明書を発行したい場合は、先に市区町村役場での印鑑登録を済ませましょう。印鑑登録が済むと、窓口で印鑑証明書の発行が可能です。また、マイナンバーカードをお持ちの方は、コンビニエンスストアのマルチコピー機などで発行できる場合があります。

◇戸籍謄本

旧名義人と新名義人の続柄がわかる書類、旧名義人の死亡日がわかる書類として、戸籍謄本が必要になります。戸籍謄本は市区町村役場の窓口で取得できるほか、郵送請求も可能です。

戸籍謄本は3ヵ月以内に発行したものに限られます。また、必ず名義人の死亡年月日が記載されているかを確認しましょう。

1つの書類で続柄が確認できない場合は、すべての戸籍謄本を集める必要があります。

◇上記以外の書類

墓地の名義変更に必要な書類は、墓地の運営母体によって変わります。以下のような書類の提出が求められる可能性があるため、よく確認しておきましょう。

・旧相続人の遺言書
・新名義人の住民票
・誓約書
・親族の同意書・理由書 ※親族以外の方が新名義人となる場合
・喪主であることがわかる書類(会葬御礼など)

墓地の相続に関して特別な事情がある場合は、必要書類が増える傾向にあります。


■墓地の名義変更にかかる費用

ここでは、墓地の名義変更にかかる費用の目安を説明します。

◇墓地の名義変更の手数料

墓地の運営母体によって、名義変更の費用目安は異なります。おおまかな目安は以下のとおりです。

・公営墓地:数百円~数千円
・民営霊園:数千円~1万円以上
・寺院墓地:数千円~1万円

寺院墓地に関しては、名義変更手数料がかからない代わりに、お布施が必要になるケースもあります。墓地の名義を引き継ぐだけでなく、檀家としての立場も含めて引き継ぐことになるからです。お布施の金額がわからない場合は、寺院へ確認を行ないましょう。

◇墓地を継承しても税金はかからない

祭祀や礼拝に必要な財産のことを、祭祀財産といいます。墓地は祭祀財産であるため、非課税扱いです。

祭祀財産である墓地を相続しても相続税はかからず、固定資産税の支払いもありません。ただしローンで購入した墓地の場合、残債は非課税とならない点に気を付けましょう。


■墓地の新名義人の決め方

 
従来、墓地の相続といえば、長男や長女が継ぐケースがほとんどでした。ですが、実は法律でそのように定められているわけではありません。故人が生前に指定している、遺言書に記されている、といった場合は基本的にその方が新名義人となります。

特に指定がないと慣習にしたがうか、新名義人について家族や親族同士で話し合う形となるでしょう。

とはいえ、現代では少子化や都市部への人口流出などもあいまって、墓地の継承者が見つからないケースも増えています。話し合いがまとまらず、名義変更が行なわれないまま長期化する例もあるようです。

話し合いで決まらない場合は、最終的に家庭裁判所が新名義人を決めることになります。

なお、親族以外の方が墓地を継承することも可能ですが、墓地の規程に注意しましょう。「継承者は〇親等以内の親族に限る」と定められている場合があるため、墓地の管理者への確認が必要です。

◇新名義人が決まらないときは改葬も視野にいれる

・新名義人に誰もなりたがらない
・遠方で墓地を管理できる方がいない
・高齢でお墓の管理が難しい
・墓地の管理で悩みたくない

このような悩みがある方には、お墓の引越し(改葬)がおすすめです。永代供養付きのお墓に遺骨を移せば、管理や供養の心配ごとがなくなります。樹木葬や納骨堂のように、費用を抑えられるお墓もあるのでぜひご検討ください。

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■墓地の名義変更に関するよくあるQ&A

ここからは、墓地の名義変更に関する疑問を解消していきます。

◇墓地の名義変更をしないまま放置できる?

名義変更を行なわず、管理費の支払いをしなければ、いずれ墓地使用権を失うでしょう。管理者がいない墓地は無縁墓と呼ばれ、現代における大きな社会問題と化しています。

無縁墓の疑いがあるお墓は、官報や立札による公告期間を経て、最終的に無縁墓として撤去されます。埋葬されていた遺骨が取り出され、ほかの方の遺骨とともに合葬されれば、先祖代々の遺骨を元に戻すことはできません。このような状態になる前に、早めに名義変更を行ないましょう。

新名義人がすぐに見つからない場合も、管理費を滞納しないよう確認が必要です。また、名義変更の変更期限を定めている墓地・霊園もあるため、その点もチェックしておきましょう。

◇相続放棄をしていても墓地を継承できる?

故人に借金がある場合、相続人は相続放棄を行なうことで、負債の相続を免れることが可能です。このとき、マイナスの財産だけでなく、プラスの財産(現金・預貯金・不動産など)の相続もできなくなります。

とはいえ、「遺産相続は放棄するが、墓地は相続したい」という方もいるでしょう。墓地は祭祀財産であるため、相続放棄の対象外です。つまり、遺産相続を放棄した場合でも、墓地は継承できるというわけです。

逆にいえば、「お墓を相続放棄したくても、祭祀承継者であるため放棄できない」という状況も発生します。どうしても墓地を管理できない場合は、改葬や墓じまいなどの方法を検討しましょう。

◇生前でも墓地の名義変更は可能?

生前での名義変更が可能であるかは、その墓地・霊園の基準によります。ですが実際は、生前での名義変更を禁止しているケースがほとんどです。

なお、名義人が高齢である、遠方に引越しした、など維持管理が難しい明確な理由があれば、特例として認められる可能性があります。

◇墓地を複数人で継承できる?

墓地の新名義人として登録できるのは1人だけです。ただし、2人以上で費用を分割したり、共同で維持管理したりすること自体は問題ありません。例えば名義人である親が亡くなり兄弟姉妹で墓地を共同管理しても、名義人は必ず1人定める必要があります。

ただし、「共同で管理する前提で名義人になったのに、自分だけがお墓参りをしている」「名義人が勝手に墓じまいをしてしまった」といったトラブルも見受けられます。

兄弟姉妹など身近な方との約束は、口頭で行なうことも多くあります。トラブル回避の観点から、管理方法や費用負担については書面で残しておくことをおすすめします。

家族や親族間で墓地の新名義人を決める際は、子・孫世代のことも考え慎重に判断する必要があるでしょう。

◇墓地の名義変更をしたら登記も行なうべき?

墓地を購入する際は、土地の所有権を得るのではなく、使用権を得ます。そのため、墓地の名義人が亡くなった場合は、墓地の名義変更は必要ですが、登記は不要です。

公営霊園・寺院墓地・民間霊園にお墓を建てている場合、名義人が亡くなっても相続登記の必要はありません。

ただし、墓地として使われている土地の所有者が亡くなるなど、例外的に登記が必要になるケースもあります。先祖代々で墓地を管理していて、土地の所有者がわからない場合は、登記簿謄本の所有者欄から確認可能です。


■まとめ

名義変更手続きをする際には、まずは必要書類や費用についてよく調べます。申請前にそれぞれのホームページを確認するか、管理者に直接問い合わせを行ないましょう。

墓地の名義変更の必要性が生じたら、まずは誰が新名義人になるかを決めなくてはなりません。新名義人が決まらない場合も、墓地をそのまま放置するのはNGです。墓地が無縁墓になってしまう前に、名義変更手続きを完了させましょう。

墓地の承継でお悩みの場合は、管理しやすい別のお墓に引っ越すといった選択肢もあります。

岩崎石材では多種多様なお墓をご用意しております。
まずは希望条件の優先順位を決めてから、納得できるご提案をさせていただきます。
お墓のことでお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

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