従来は「お墓を持つのが当たり前」という考え方が一般的でしたが、近年はお墓や供養方法に関する意識に変化が出てきています。
お墓に対する考え方も家庭の事情も、それぞれで異なります。「お墓をあえて持たない」というのも、選択肢の一つといえるでしょう。
そこで今回は、お墓を持っていない方、お墓を用意すべきか迷っている方のために、お墓を持たない場合の供養方法や、費用負担の少ないお墓などについて解説します。
結論からいうと、「お墓を持たない」という選択をすることも可能です。お墓や埋葬に関するルールについては、「墓地・埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」で確認できます。
亡くなった方の遺骨は、墓地に埋葬するのが基本です。墓地以外の場所に勝手に納骨・散骨してはいけません。例えば自宅の敷地内に埋めたり、許可なく海に撒いたりするのはNGです。
なお、お墓を持たずに自宅で保管し続けるのは、法律違反ではありません。お墓は必ず用意する必要はありませんが、遺骨の取り扱い方、安置・埋葬方法には注意が必要です。
お墓を持つメリットとお墓を持たないメリットを比較した結果、「むしろお墓はいらないのでは?」という結論に至る方も少なくありません。ここでは、お墓を持つことで生じるよくある悩みを見ていきましょう。
お墓を購入する際にかかる初期費用だけでなく、その後の管理費・修繕費の負担を考えておかなくてはなりません。これはお墓を購入する自分たちだけでなく、そのお墓を継承する子や孫にとっても重要なことです。
「お墓を用意したいという気持ちはあるものの、何百万円もの費用を負担するのは難しい……」と感じる方もいるでしょう。お墓にかける費用を最小限にしたうえで、できる範囲の供養をする、というのも考え方の一つです。
お墓を建てたいと思っても、継承者がいないことに悩まれる方も多いです。お墓をせっかく建てても、継続して管理してくれる人がいなければ、いずれ無縁墓となってしまいます。
お墓に対する考え方は、近年大きく様変わりしています。自分たちはお墓を建てることに納得していても、子や孫は「先祖代々のお墓は必要ない」と考えるかもしれません。
お墓を持たない場合には、どのような方法で供養を行なうのでしょうか。ここではお墓を持たない供養方法として、散骨、手元供養、本山納骨、ゼロ葬について紹介します。
散骨とは、遺骨を山や海など自然のなかに撒く供養方法です。遺骨を撒く場所によって、海洋散骨、里山散骨、宇宙散骨などの種類に分けられます。
多くの方が真っ先に思い浮かべるのは、海洋散骨かもしれません。海洋散骨の際には、沖から十分に離れた位置で行なうなど、最低点のルール・マナーを守って、周囲に配慮することが重要です。また、自治体によっては海洋散骨を禁止している場合もあるため、その点も確認しておきましょう。
なお、ご遺骨を自然界に撒く際には粉骨作業が必要です。しかし、遺骨をパウダー状にする作業は、体力的にも精神的にも負担が大きいかもしれません。したがって、粉骨については、散骨の専門業者に依頼するとよいでしょう。
費用を抑えたい場合は、粉骨から散骨までを一任できる「代行散骨」という方法もあります。火葬場や自宅での引き取り、郵送での引き取りなど、都合に合わせて選択できるのが利点です。
火葬した遺骨を、そのまま自宅で供養する方法もあります。手元供養のパターンとしては、以下のようなものが考えられます。
・骨壺に入れて自宅で安置する
・パウダー状にした遺骨をアクセサリーに入れる
・遺骨の一部だけを手元で管理する(分骨)
新しいお墓を建てるには、それなりの費用と準備が必要です。亡くなった方のお墓をすぐに用意できない場合には、一時的に自宅安置を選択する方も少なくありません。納骨には期限がないため、手元供養をしたのちに、永代供養墓などに埋葬することも可能です。
手元供養を選ぶなら、将来的に遺骨をどうするのかについても、考えておく必要があるでしょう。
本山納骨とは、仏教宗派の本山に遺骨を埋葬することです。分骨での受け入れが多いですが、すべての遺骨を納骨できる場合もあります。
本山納骨の場合は、供養塔に合祀する形(他の方の遺骨と一緒に埋葬)をとるのが一般的です。合祀の場合は、一度納骨すると遺骨を個別に取り出すことはできません。
本山納骨には、故人の宗旨・宗派不問の場合が多い、年間管理料などの負担が少ない、といったメリットがあります。
通常は火葬のあとに遺骨を引き取りますが、ゼロ葬(0葬)の場合は引き取りません。遺骨を火葬場にそのまま引き取ってもらうので、お墓に関する悩みや金銭的な負担がなくなります。なかには、生前からゼロ葬を希望される方もいらっしゃいます。
もちろん、「火葬場に遺骨を引き取ってもらうなんて……」と感じる方も少なくはないでしょう。しかし大切なのは、亡くなられた方の気持ちを尊重することです。故人の希望、家族の希望が一致しているのであれば、ゼロ葬を選んでも問題はありません。
ただしゼロ葬を希望していたとしても、全国どこでもできるわけではないので注意が必要です。自治体ごとに火葬関連の条例が異なるため、事前によく確認しておきましょう。
費用を抑えてご遺骨を供養、納骨するなら、永代供養、納骨堂、樹木葬のいずれかを選ぶのがおすすめです。ここでは、それぞれのお墓の特徴と費用目安を紹介します。
永代供養墓とは、家族や親族の代わりに霊園・寺院が管理するお墓のことです。永代供養墓を選ぶことで、継承者がいない場合の不安や、費用負担の心配が解消されるでしょう。家族や親族が遠方でお参りに行けない場合でも、安心して任せられます。
永代供養墓には、墓石を建てる「単独墓」、共有の墓石で個別のスペースがある「集合墓」、他の契約者と一緒に埋葬する「合祀墓」の3タイプがあります。それぞれの費用目安は以下のとおりです。
・単独墓:30万円~150万円程度
・集合墓:10万円~60万円程度
・合祀墓: 5万円~30万円程度
費用をできるだけ抑えたいなら、合祀墓がおすすめです。一方、家族や夫婦だけでお墓に入りたいなら単独墓を、骨壺を分けておきたい場合は集合墓を選ぶとよいでしょう。ただし単独墓・集合墓の場合でも、一定期間を過ぎると合祀墓に移される点に注意が必要です。
関連記事:
永代供養墓の費用相場と内訳を全解説!失敗しない選び方のポイントも紹介
納骨堂とは、遺骨を納骨できる屋内施設のことです。1人用、夫婦用、家族用など、利用する人数によってスペースの広さを選択できます。駅近で通いやすい納骨堂が多いため、お参りしやすいのもメリットです。
納骨堂の種類には、以下の5つのタイプがあります。
・位牌型:10万円~
・ロッカー型:20万円~
・仏壇型:個人用30万円~、家族用100万円~
・自動搬送型:50~100万円程度
・墓石型:100~200万円程度
お墓の費用が気になる方は、ひな壇に位牌を並べる「位牌型」を選ぶとよいでしょう。個人のスペースが小さい分、費用負担を最小限に抑えられます。納骨堂によって施設の充実度が異なるので、実際に見学して比較検討するのがおすすめです。
それぞれの納骨堂の特徴については、以下の記事をご参照ください。
関連記事:
納骨堂にかかる費用とは?種類別の費用相場、金額を安くする方法を解説
樹木葬の場合は、墓石ではなく樹木や花がシンボルとなります。「自然に囲まれて穏やかに眠りたい」という方に人気のお墓です。
樹木葬のタイプは、自然の山に埋葬する「里山型」、明るく開放的なデザインの「庭園型」、墓地として整備された「公園型」の3つに分けられます。
埋葬方法には、個々にシンボルがある「個別型」、シンボルを共有する「集合型」、他の契約者とまとめて埋葬する「合祀型」の3パターンがあります。低コストのお墓を希望する方は、合祀型の樹木葬を選びましょう。
・個別型:20~150万円程度
・集合型:15~60万円程度
・合祀型:5~20万円程度
関連記事:
樹木葬の費用相場とは?その内訳と金額を抑える5つのポイントを解説
お墓に対する考え方は、近年大きく変わりつつあります。お墓を持たない選択をしたり、永代供養や墓じまいを選んだりしても、決して罰当たりなことはありません。
お墓の存在を大切にする考えもあれば、お墓を持つことにこだわらない考えもあり、供養方法もさまざまです。最も大切なのは、「自分たちがどうしたいのか」という点でしょう。
お墓を持たない選択肢として、散骨や手元供養といった方法も一般的になってきました。膨大な費用をかけなくても、数万円程度で心を込めてご遺骨を供養することも可能です。
お墓を持つことに迷ったときは、まずは家族や親族とよく話し合いましょう。その話し合いの結果をふまえて、自分たちにとって最善の選択をしてください。
お墓に膨大な費用をかけなくても、お墓を持たなくても、故人を偲ぶ気持ちがあれば、なにも問題はありません。近年では、「お墓の費用を負担するのが難しい」「お墓を引き継ぐ人がいない」という理由で、お墓を持たない選択をする方も増えています。
岩崎石材では多種多様なお墓をご用意しております。
まずは希望条件の優先順位を決めてから、納得できるご提案をさせていただきます。
お墓のことでお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
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