長男がお墓を継がないケースもある!承継者の決め方、墓じまい後の選択肢を紹介

長男がお墓を継がないケースもある!承継者の決め方、墓じまい後の選択肢を紹介


お墓の名義人が亡くなったあと、そのお墓を誰が継ぐのか、家族や親族間での話し合いが必要です。その際、「長男がお墓を継ぐものだろう」という意見が出ることもあるでしょう。

実際のところ、お墓を継ぐのは長男以外でも問題ないのでしょうか。本記事では、お墓は長男が継ぐべきなのか、承継者の決め方について解説します。永代供養墓や納骨堂、樹木葬など、お墓を継ぐ方がいない場合の選択肢についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

■お墓を継ぐのは長男以外でも良い

お墓の名義人が亡くなった場合、長女や次男など、長男以外がそのお墓を継いでも問題ありません。かつては長男がお墓を継ぐ慣習がありましたが、現代ではほとんど残っていません。また、法律で「お墓を継ぐのは長男」という決まりもありません。

なお、お墓は仏壇、仏具などと同様に、「祭祀財産」として扱われます。その祭祀財産を承継する方を「祭祀承継者」と呼びますが、祭祀承継者は長男以外の方が選ばれることもあります。

■お墓を継ぐ人はどうやって決める?



お墓を継ぐ人を決める際は、一般的に以下のような流れで決定します。

◇お墓の名義人が指定

お墓の名義人(亡くなった方)が生前、遺言書や口頭で承継者を指定していた場合は、名義人の指定を最優先します。

なお、生前のうちにお墓の承継者を指定し、あらかじめお墓の名義変更をしておくのも一つの方法です。霊園・墓地によっては生前の名義人変更ができない場合もあるので、確認しておきましょう。

◇慣習や話し合い

お墓の名義人による指定がなかったときは、家や地域の慣習に従います。もしくは、皆が納得できるまで家族や親族での話し合いが必要です。

先祖代々続いているお墓の場合、一般的には亡くなった方の子どもがお墓を継ぐパターンが多いでしょう。なお、家族や親族が納得していれば、血縁者以外がお墓を継ぐことも可能です。

「長男が継ぐべき」「亡くなった方との関係性が近い方に継いでほしい」「お墓の近くに住んでいる人に任せたい」など、お墓の承継に関する考え方は人によってさまざまです。お墓を継ぐ人が決まらず、トラブルになるケースも少なくありません。

◇家庭裁判所の判断

家族や親族間で話し合いがまとまらない場合でも、誰かがお墓を継がなくてはなりません。お墓を継ぐ人がどうしても決まらない場合は、最終的に家庭裁判所の判断にゆだねる形となります。

裁判所に決定をゆだねる場合、「長男だからお墓を継ぐべき」という基準ではなく、名義人との承継候補者との関係性なども含めて、総合的に判断されます。

■長男も含め、複数人でお墓を継ぐことは可能?

複数人でお墓の管理をすることはできますが、祭祀財産の名義人になれるのは一人だけです。ただ、複数人で管理するとトラブルになりやすいので注意が必要です。

トラブルの例としては、以下のものがあります。

  • 複数人で管理していたが、祭祀承継者が勝手に墓じまいをしていた
  • 長男と次男が一緒に管理していたが、世代が進んで管理しづらくなった
  • 一人だけが管理費を負担する形となり、関係性が悪化した
兄弟姉妹など、共同でお墓を管理するケースもあります。しかし、先祖代々で受け継ぐお墓の場合、お墓の管理は兄弟姉妹だけの問題には留まりません。子や孫、さらにその先まで承継が続くことを考えると、名義人が一人で管理を担うほうがトラブルは起きにくいでしょう。

■長男以外が継ぐ場合、墓地の使用規則の確認が必要

お墓は長男以外の方や、血縁者以外の方でも継ぐことができます。しかし、霊園・墓地が承継者の条件を決めている場合があるため注意が必要です。

例えば、以下のような制限が挙げられます。

  • 名義人の長男に限る
  • 名義人の血縁者に限る
  • 名義人の血縁者(○親等以内)に限る

お墓の承継者について法律上の決まりはないですが、霊園・墓地の使用規則がある場合は、それに合わせるのが無難です。使用規則に従うのが難しい場合は、霊園・墓地に事情を説明してみるのもよいでしょう。やむを得ない事情があれば認められるかもしれません。

■お墓を継がずに放置するリスク

お墓を継がずにそのまま放置すると、最終的にお墓を強制的に撤去される場合があります。一定期間管理費が支払われず、放置されて荒れたお墓のことを「無縁墓」と呼びます。

お墓の管理者は、支払いの義務がある方に対して督促を行ないます。それでも支払われない場合は官報に名義人の氏名が掲載されます。その公示を無視したり、気付かないまま時間が経ったりすると、いずれ管理者によってお墓は撤去されます。

お墓を放置した場合、「久しぶりにお墓参りに行ったら、お墓がなくなっていた」という事態も起こり得ます。強制撤去の前に、誰がお墓を継ぐのかをはっきりと決めて、適切な管理を行なわなくてはなりません。

■お墓を誰も継がない場合はどうする?

話し合いをしてもお墓を継ぐ人が決まらない場合は、墓じまいを検討しましょう。墓じまいとは、お墓を撤去して墓地として使用していた土地を返却することです。お墓に納めていた遺骨は、永代供養墓や納骨堂などの承継が不要なお墓に移す、散骨するなどの方法で対応します。

墓じまいをする場合は、その後のトラブルを防ぐため、家族・親族の同意を得たうえで行ないましょう。「お墓参りができないのは困る」「遺骨が合祀されるのは抵抗がある」など、お墓や遺骨の管理についてさまざまな意見があります。

家族や親族と話し合いをした際は、トラブルを避けるため、話し合いの内容について覚書を残しておくのもよいでしょう。

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■お墓を継がない場合の選択肢


お墓を継がずに墓じまいをした場合の選択肢として、5つの選択肢を紹介します。

◇永代供養墓

お墓の承継者がいなくても、永代供養墓であれば、納骨後のお墓の供養や管理を霊園・墓地の担当者に任せられます。永代供養墓の種類としては、単独墓・集合墓・合祀墓の3つがあります。

  • 単独墓:一般的なお墓と同じように、個別の墓石が用意される。
  • 集合墓:石碑や石塔などのシンボルはほかの契約者と共有。遺骨は個別に安置される。
  • 合祀墓:ほかの方の遺骨と一緒に埋葬される。分骨や改葬は行なえない。

費用を抑えるなら合祀墓ですが、遺骨を取り出して分骨したり、別のお墓に移したりすることはできません。また、単独墓や集合墓の場合でも、安置期間を過ぎると合祀される場合があります。

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◇納骨堂

納骨堂とは、遺骨を納める屋内施設のことです。ロッカー型、仏壇型など種類が豊富で特徴もそれぞれ異なるため、実際に見学をしてから契約とよいでしょう。

  • 位牌型:納骨堂内の棚に、位牌や骨壺が並べられる。
  • ロッカー型:コインロッカーの形をした個別のスペースが用意される。
  • 仏壇型:個別の仏壇が用意される。家族の遺骨を納骨することも可能。
  • 自動搬送型:参拝スペースにICカードをかざすと、遺骨が運ばれてくる仕組み。
  • 墓石型:屋内施設に墓石が並ぶ。

納骨堂は遺骨の移動がしやすいため、一時的な預かり場所としても利用されます。

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◇樹木葬

樹木葬とは、樹木や草花をシンボルとするお墓のことです。自然の里山に埋葬するスタイル、公園や庭園のような整備された場所に埋葬するスタイルなど、さまざまな形式があります。

樹木葬の場合は、一人用や夫婦用など少人数で利用される方が多いです。一般的なお墓よりも費用を抑えられますが、人数分の費用が必要になります。複数人分の遺骨を納める場合は、かえって費用が割高になることもあるため注意してください。

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◇手元供養

墓じまい後の遺骨は、自宅での保管も可能です。遺骨を自宅で安置したり、アクセサリーとして身に着けたりすることを、「手元供養」といいます。

遺骨の納骨先が決まらないときに、一時的に手元供養を選択される方もいます。手元供養の期限はないので、そのまま身近な場所で供養し続けるのも一つの方法です。

ただし、将来的に遺骨を管理できなくなった場合の対応を、あらかじめ考えておく必要があるでしょう。

◇散骨

自然の中に遺骨を撒くことを、「散骨」といいます。墓じまい後の遺骨を粉末状にしたうえで、海や山などの自然に遺骨を還します。散骨の専門業者に依頼して、法律に則った形で散骨するのが基本です。

散骨の種類としては、海洋散骨・森林散骨・宇宙散骨などがあります。業者に依頼する費用はかかりますが、遺骨が残らないため、お墓の費用負担や管理の手間が発生しません。ただし、手を合わせる対象がなくなるため、後悔しないようによく考えて選択しましょう。

■まとめ

「お墓は長男が継ぐもの」という印象をお持ちの方も多いですが、法律上そのような決まりはありません。長男以外の方や、血縁のない他人であっても、家族や親族の了承を得られれば、お墓の跡継ぎになることが可能です。

誰もお墓を継がない場合は、そのままお墓を放置するのではなく、墓じまいを検討しましょう。永代供養付きのお墓に遺骨を移し、管理や供養を霊園・墓地の担当者に任せることで、お墓に関する将来的な不安がなくなります。

岩崎石材では、多種多様なお墓をご用意しております。

お墓を選ぶ際は、希望条件を整理し、優先順位を決めることが大切です。

お墓のことでお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。