お墓の跡継ぎがいないとき、引越しで住まいが遠くなってしまったとき、先祖代々のお墓をどうすべきか悩んでしまうでしょう。そのような悩みを抱える方から注目を集めているのが、お墓の永代供養です。
今あるお墓を永代供養墓に移す際、お寺が管理する墓地を選択すべきなのでしょうか。それとも、霊園などお寺以外の墓地を選ぶほうが良いのでしょうか。
本記事では、永代供養をお寺に依頼すべきか迷っている方のために、お寺に任せる場合のメリット、注意点などを解説します。
永代供養とは、お寺や霊園にお墓を管理してもらえる仕組みのことで、お墓の継承者がいなくても利用できる点が特徴です。
永代供養にすれば、そのお寺や霊園が倒産などをしない限り、供養を半永久的に続けてもらえます。少子高齢化・核家族化が進む最中、永代供養に対応しているお寺は増加傾向にあります。
永代供養は、遺骨の埋葬方法によって以下の3つのタイプがあります。
永代供養をお寺に依頼する場合にも、霊園に依頼する場合にも、サービス内容自体には大きな差はありません。しかし、お寺への依頼には、以下のようなメリットがあります。
お寺が管理している墓地なら、お墓の供養について困ったとき、僧侶に悩みを相談できるでしょう。葬儀や法要など、お墓以外について相談したいときにも、お世話になっているお寺があれば安心して任せられます。
民間霊園の場合、お墓の契約後に運営会社の倒産によって、霊園が閉鎖されてしまうケースも稀にあります。ほかの運営会社が経営を引き継いだとしても、年間管理費の値上がりなどの影響が出る場合もあるため、注意が必要です。
寺院墓地も民間霊園と同様に、将来的に倒産するリスクもありますが、民間企業が運営している霊園に比べると、可能性は低いでしょう。
なお、霊園のなかには、宗教法人が登記上の経営者となっていても、実際には民間企業が運営していることがあります。倒産リスクの可能性がやや上がるため、気になる方は永代供養墓を契約する前に、どこの会社が運営しているのか実態を確認しておくと安心です。
お寺に永代供養を頼むなら、以下の注意点を押さえておきましょう。
永代供養墓の場合は、そのお寺の檀家にならなくてもお墓を利用できるケースが多いですが、例外もあります。念のため、事前に問い合わせておきましょう。
永代供養墓を利用する際に、宗旨・宗派の制限があることもあります。契約後のトラブルを避けるためにも、詳細を先に確認しておくと安心です。
また、宗旨・宗派の制限だけでなく、供養方法についても念のため確認しておきましょう。信仰する宗派の供養方法と、そのお寺での供養方法が異なることもあるからです。
供養方法の違いが気になる方は、永代供養に対応可能な同じ宗派のお寺を探すほうがよいでしょう。
永代供養の場合、初期費用のなかに永代供養料、納骨料(お布施)、刻字料、管理費などが含まれています。基本的には初期費用の1回のみで完結しますが、追加費用が発生するお寺もあるため注意が必要です。
例えば、管理費が初期費用に含まれておらず、契約後に気付くケースもあります。永代供養墓の費用を案内された際、全体の金額だけでなく、費用内訳についても詳細をチェックしましょう。
そのほか、法要で僧侶にお渡しするお布施や寄付金、会場使用料などが、追加費用として発生する場合があります。
永代供養墓の費用に関しては、利用するお墓の種類、地域や利用するお寺によっても変わってきます。費用の傾向や費用を抑える方法について気になる方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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合祀墓(合葬墓)は、骨壺から取り出した遺骨を、他人と一緒に埋葬するタイプのお墓です。お参りの際のシンボルとして、モニュメントや石仏などが建てられています。
合祀型のお墓は、遺骨を個別に埋葬するお墓と比べると、費用を抑えられる点がメリットです。「身寄りがいない」「ほかの方と一緒に埋葬されてもかまわない」「費用を安く抑えたい」という方には、合祀型のお墓が向いているでしょう。
なお、合祀墓以外の永代供養墓(集合墓・単独墓・納骨堂・樹木葬)に関しても、一定期間を経たのち、合祀墓に遺骨が移されるケースがほとんどです。
合祀墓を選択する際は、家族や親族に前もって相談しておくことをおすすめします。遺骨が他人と一緒に埋葬されることに抵抗感を持つ方、寂しい気持ちになる方もいるからです。
先祖代々のお墓に眠る遺骨を、家族や親族の同意なく合祀墓に移すと、のちにトラブルに発展するおそれもあるため、慎重に進めましょう。
集合墓とは、モニュメントなどのシンボルの下に、骨壺や骨袋などに入れられた遺骨を埋葬するタイプのお墓のことです。17回忌や33回忌など、あらかじめ設定された期間を超えると、遺骨は合祀墓に移されます。
他人の遺骨と一緒に埋葬される点は合祀墓と同様ですが、遺骨は骨壺・骨袋などに個別に保管されているため、合祀墓に入れられるまでは、遺骨を取り出すことも可能です。
単独墓では、一般墓と同じように、個別の墓石を用意して供養します。普通のお墓と変わらない見た目ですが、永代供養付きであるため、お墓の管理や供養はお寺に任せられます。墓石に手を合わせてお参りをしたい方、線香やお花を供えたい方には、単独墓がおすすめです。
単独墓の場合も、一定期間後に合祀されます。墓石代が必要になるため、合祀墓や集合墓と比べると費用設定は高めです。
納骨堂とは、遺骨を安置できる屋内型のお墓のことです。お寺の納骨堂だけでなく、利便性が高い街中にも設けられています。
納骨堂は、位牌型、ロッカー型、仏壇型、自動搬送型、墓石型など種類が多く、特徴もさまざまです。例えばロッカー型の場合、コインロッカーのような見た目の棚に、骨壺や位牌などを納められます。仏壇型はその名のとおり、個別の仏壇が用意されています。
納骨堂を検討する際は、現地に赴いて全体の雰囲気、お参りのしやすさなどを確認したほうがよいでしょう。お寺の納骨堂なら、供養してくれる住職と実際に会って、人柄を見てから決めるのもおすすめです。
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処分すると決めたなら、永代供養を依頼するか、閉眼供養で位牌から魂を抜いたあとに処分しましょう。選択に迷う場合は、お寺の一時預かりサービスを利用するのも良い方法です。なお、自宅の仏壇に位牌をそのまま残しておいてもかまいません。
位牌の購入場所や処分方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
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