墓じまいとは?基本の手順や費用相場、永代供養付きのお墓の種類を紹介

墓じまいとは?基本の手順や費用相場、永代供養付きのお墓の種類を紹介

家族や親族で受け継いでいるお墓はあるものの、これから誰が管理するのか、いっそ墓じまいをすべきなのか、などと悩んでいる方も多いでしょう。お墓を管理する人がいなくなった場合や、別の墓地に移したい場合には墓じまいを行なう必要があります。

本記事ではそもそも墓じまいとは何なのか、メリットや基本の流れ、注意点などを解説します。墓じまいの費用相場や支払えない場合の解決方法、永代供養付きのお墓についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

■墓じまいとは?

墓じまいとは、今ある墓石を撤去して更地にしたうえで、霊園・墓地の管理者に使用権を返すことを意味します。お墓から取り出した遺骨は、その後別のお墓に移して供養する必要があります。

お墓の引越しをする際は、霊園・墓地の管理者に交渉したうえで、行政手続きを済ませましょう。許可なくお墓から遺骨を取り出したり、廃棄したりすることはできません。

■墓じまいの3つのメリット


従来のお墓といえば、家族や親族で代々受け継いでいくもの、と考えられていました。しかし近年は、家族の形や生活スタイルの変化があり、お墓に対する考え方も変わりつつあります。

ここでは、墓じまいの3つのメリットについて見ていきましょう。

◇墓じまいのメリット(1)費用負担を抑えられる

墓じまいをして、霊園など寺院を除く施設に改葬すれば、お墓の年間管理料やお布施などの費用負担がなくなります。

また、先祖代々のお墓の所在が遠方であれば、気軽に通うことはできません。近い場所に改葬することでお墓参りがしやすくなり、交通費も節約できるでしょう。

◇墓じまいのメリット(2)継承者を用意する必要がない

亡くなった方を供養する気持ちはあっても、お墓を継承するのはそれなりの負担となります。お墓について考えたとき、「子や孫に負担をかけたくない」「誰も管理してくれなかったらどうしよう」と悩む方も少なくありません。

将来的な負担をなくしたい場合、お墓を引き継ぐ人がいない場合は、墓じまいをして永代供養付きのお墓に改葬するのがおすすめです。

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◇墓じまいのメリット(3)お墓が無縁仏にならない

お墓の継承者がいなくなれば、墓石の掃除や修繕もなされず、荒れ放題となってしまいます。せっかく先祖代々のお墓があるのに、最終的に無縁仏になるのは避けたいものです。

誰かが管理できるうちに墓じまいをして、永代供養墓や合祀墓に移しておけば、無縁仏になる不安が解消されるでしょう。

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無縁仏にしないためには?安心して利用できるお墓の選択肢も一挙紹介

■墓じまいの基本の手順【7ステップ】

 
続いては、墓じまいのおおまかな手順について7ステップで解説します。

◇墓じまいの手順(1)親族間でよく話し合う

墓じまいをするかどうかは、親族の同意を得てから決めるようにしましょう。お墓に対する価値観は徐々に変わりつつありますが、なかには「先祖代々のお墓を守るのは当たり前」という考えの方がいるかもしれません。

墓じまいをいったん行なってしまうと、元に戻すのは困難です。お墓に関する考え方はさまざまであるため、行動に移す前に親族間で十分に話し合う必要があります。

◇墓じまいの手順(2)霊園・寺院に相談する

墓じまいをする旨について、お墓のある霊園・寺院に相談します。

墓じまいを申し出る際には、印象が悪くならないように伝え方には気を付けましょう。「遠方に住んでいてお墓参りが大変だから」のように、墓じまいを決断した理由を整理しておくとスムーズに伝わります。

また、双方の間で墓じまいに合意したら、霊園や寺院の管理者に「埋葬証明書」の発行を依頼しておきましょう。 あとの手続きで必要となる書類です。

◇墓じまいの手順(3)遺骨の受け入れ先を決める

墓じまいの際、遺骨を取り出したあとに、それをどこに受け入れてもらうのかをあらかじめ検討します。

改葬先が決まったら、受け入れ先の霊園・寺院から、「受入証明書」を発行してもらってください。この受入証明書は、自治体で「改葬許可証」を発行してもらうときに必要です。

◇墓じまいの手順(4)改葬の手続きを行なう

墓地のある自治体に、前述の埋葬証明書、受入証明書とともに 「改葬許可申請書」を提出し、改葬許可証を発行してもらいます。なお、手元供養や散骨の場合は改葬の手続きは必要ありません。

必要書類については、自治体ごとに多少異なる場合があります。改葬許可申請書を入手する際に、詳細を必ず確認しておきましょう。

◇墓じまいの手順(5)お墓から遺骨を取り出す

改葬許可証をもらったら、遺骨をお墓から取り出します。

このとき、閉眼供養・魂抜きなどの宗教儀式を執り行ないます。僧侶を招いて読経してもらう際は、お布施の用意を忘れないようにしましょう。

◇墓じまいの手順(6)墓石を撤去する

遺骨の取り出し、宗教儀式を終えたら、墓石の解体・撤去工事に入ります。工事を担当するのは石材店です。

墓石を撤去して整地をしたら、お墓の管理者に土地を返還します。

◇墓じまいの手順(7)受け入れ先に遺骨を納骨する

取り出した遺骨を受け入れ先に納骨すれば、墓じまいは完了です。埋葬は石材店が行ないます。

■墓じまいにかかる費用相場

墓じまいにかかる費用の目安は、以下のとおりです。

  • 墓石の撤去費用:1㎡当たり10~20万円程度
  • 離檀料:3~20万円程度
  • 閉眼供養のお布施:2万円~5万円程度
  • 改葬許可証:0円~1,000円程度

上記の費用に加えて、改葬先の費用が必要です。お墓の種類ごとに必要な費用、年間管理費の有無が異なる点に注意しましょう。

永代供養墓や樹木葬なら、10万円程度から利用できます。墓石代の金額が大きくなりますが、一般墓への改葬も可能です。

お墓ごとにメリット・デメリットがありますので、よく比較したうえで改葬先を決めましょう。

■墓じまいの費用をまかなえない場合の対処法


墓じまいのときに悩みの種となるのが、誰が費用を負担するのか、という点です。

家族や親族で協力して費用負担を分け合うのが一番ですが、うまくいかないことも多々あります。話し合いでもめたり、連絡が途絶えてしまったりするケースも少なくありません。

墓じまいの費用を払えないときは、以下の対処法を検討してみてください。

◇墓じまいの補助金をもらう

墓じまいには多くの費用がかかりますが、自治体に申請することで補助金をもらえる場合があります。ただし、すべての自治体で墓じまいの補助金が出るわけではありません。また、補助金が出る条件についても、自治体ごとに違いがあります。

さらに、補助金制度を利用する際には、墓じまいの費用の全額を支払ってから一部を補助金として受け取るパターンが多いです。まずは自治体のWebサイトから、補助金制度の有無と利用条件を確認しましょう。

補助金制度がない場合でも、自治体に直接相談すれば、代替案を教えてもらえる可能性があります。

◇メモリアルローンを使う

自治体に補助金制度がない場合、墓じまいの費用が足りない場合は、メモリアルローンを検討してみてください。

メモリアルローンとは、葬儀やお墓に関して使われる専用のローンです。住宅ローンなどと比べると審査が早く、収入証明が必要ないものもあります。

メモリアルローンを希望する場合は、霊園や石材店、金融機関などに相談してみましょう。

■墓じまいをする際の6つの注意点

 
ここでは墓じまいで起こりがちなトラブル、気を付けたい注意点を紹介します。

◇墓じまいの注意点(1)墓じまいの時期

墓じまい自体は基本的にいつでも行なえますが、いくつか注意したい時期もあります。

例えば雪が大量に降る地域の場合、冬場は墓石の解体・撤去作業ができないかもしれません。雪が積もれば遺骨を取り出せなくなるので、真冬はなるべく避けたほうがよいでしょう。

梅雨の時期は、墓石が雨で濡れてしまうため、撤去時のクレーン作業が円滑に進まないおそれがあります。

お盆・お彼岸は親戚が多く集まるタイミングではありますが、お墓参りで墓地が混雑する時期なので控えたほうが無難です。

◇墓じまいの注意点(2)寺院とのトラブル

墓じまいの際に、寺院とのトラブルが生じることがあります。例えば、高すぎる離檀料を請求された、墓石の工事を拒否されたなどです。

もちろん、すべての寺院が墓じまいに否定的というわけではありません。墓じまいについて早めに相談する、墓じまいの理由を丁寧に説明する、などの意思疎通ができていれば問題ないでしょう。

◇墓じまいの注意点(3)石材店とのトラブル

墓石工事の費用について、石材店とトラブルになるケースがあります。墓じまいには定価がないため、石材店ごとに金額設定が異なることを知っておきましょう。

墓石工事の負担をできるだけ抑えたいなら、複数の石材店に見積もりを依頼することをおすすめします。複数の見積もりを比較すれば、おおまかな費用相場が見えてくるでしょう。

ただし、石材店の指定があると相見積もりができないため、注意が必要です。

◇墓じまいの注意点(4)遺骨の手入れ

既存のお墓から遺骨を取り出したら、新しい供養先に運ぶ前に遺骨の手入れを行ないましょう。長年お墓に納められていた遺骨には、カビや虫が繁殖していたり、異臭がしたりする場合があります。遺骨の汚れを落とす作業のことを、「洗骨」といいます。

墓じまい、改葬のタイミングで遺骨の手入れを行なうことで、ご先祖様に対して感謝の気持ちを伝えることができるでしょう。

なお、洗骨をしないまま新しい供養先に納骨すると、遺骨の状態がさらに悪くなるおそれがあります。洗骨は自分たちで行なうこともできますが、衛生面や心理的な負担が気になるようなら、専門業者に依頼するのがおすすめです。

◇墓じまいの注意点(5)遺骨の運び方

遺骨を運ぶ手段としては、以下の3つの方法があります。

  • 車・電車・バスなどで運ぶ
  • ゆうパックを利用する
  • 納骨サービスを利用する
自分で遺骨を運ぶ場合は、骨壺を箱やバッグに入れたり、風呂敷で包んだりして、ほかの方の目に触れないように配慮しましょう。ゆうパックを利用する際は、骨壺が割れないよう十分に梱包することが重要です。自分で骨壺を運べない場合や、ゆうパックで送ることに抵抗がある場合は、納骨サービスを利用するのも一つの方法です。

◇墓じまいの注意点(6)墓じまい後の供養方法

墓じまいをする前に、遺骨をどこに埋葬するかを決めておかなくてはなりません。既存のお墓から取り出した遺骨を自宅の庭に埋葬したり、ゴミとして処分したりするのはNGです。

「遺骨はお墓に納めるもの」と思っている方もいますが、必ずお墓に納めなければならないわけではありません。墓じまい後の供養方法として、手元供養や散骨を選択する方もいらっしゃいます。例えば遺骨を自宅で管理する、遺骨の一部をペンダントに入れる、山や海に撒く(散骨)など、多くの選択肢があります。

新しくお墓を用意する場合、一般墓や永代供養墓、納骨堂、樹木葬などのなかから、希望条件に合うところを探してみましょう。費用や立地、交通アクセス、周辺環境など、それぞれの供養方法について特徴を理解し、自分たちに合うものを選択してみてください。

■墓じまい後の供養なら、永代供養付きのお墓がおすすめ



墓じまい後の遺骨は、永代供養墓や納骨堂、樹木葬など、永代供養付きのお墓に納骨するとよいでしょう。供養や管理を霊園・寺院に任せられるため、お墓に関する悩み、費用負担が軽くなります。

ここでは、永代供養墓、納骨堂、樹木葬のそれぞれの特徴について解説します。

なお、「永代供養」について詳しく知りたい方は、以下の関連記事を併せてご覧ください。

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◇永代供養墓

跡継ぎのいらないお墓のことを、「永代供養墓」といいます。永代供養墓の種類として、以下の3つを押さえておきましょう。

  • 合祀墓:ほかの契約者とまとめて埋葬される。
  • 集合墓:ほかの契約者と一緒に埋葬されるが、遺骨は個別に埋葬。
  • 個人墓:お墓を個別に用意。一般的なお墓参りを行なえる。
お墓の費用負担を抑えるなら、最初から合祀される「合祀墓」がおすすめです。ただし遺骨を取り出せなくなる点には注意が必要です。

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◇納骨堂

遺骨を納める屋内施設のことを、納骨堂といいます。都市部、駅近など立地の良い施設が多く、屋内でも雨風を気にせずお参りができます。

納骨堂には多くの種類があるため、納骨スペースや費用などの違いをよく確認しましょう。例えばコインロッカーのようなスペースに遺骨を安置する「ロッカー型納骨堂」、仏壇が数多く並ぶ「仏壇型納骨堂」などがあります。

それぞれの納骨堂の特徴や費用、選び方については、以下の記事をご覧ください。

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◇樹木葬

樹木葬とは、樹木やお花をシンボルとする供養方法のことです。墓石を用意しないため、その分の費用を抑えられます。一般的なお墓は先祖代々で複数の遺骨を納めますが、樹木葬の場合は単身者や夫婦、親子など、少人数で利用するケースが多いでしょう。

樹木葬には、公園や庭園のような整備された環境に埋葬するタイプ、里山に自然な形で埋葬するタイプがあります。遺骨を自然に還したい場合は、希望にあったスタイルの樹木葬であるか、埋葬方法も含めて確認が必要です。

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■まとめ

墓じまいを検討する際に、先祖代々のお墓をなくしても良いのかなどと、迷われる方が多いことでしょう。

しかしお墓に対する価値観は人それぞれで、正解はありません。お墓を受け継いでいくのも、墓じまいをするのも、家族や親族の話し合い次第です。

墓じまいの費用が気になる方は、自治体の補助金制度やメモリアルローンを検討してみましょう。今回説明した墓じまいの手順、注意点をもとに、手続きを一つひとつ進めてみてください。

お墓の供養・管理について不安があるなら、永代供養墓、納骨堂、樹木葬など、永代供養付きのお墓を候補に入れてみましょう。

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